「簿記2級をとっても意味がない」と聞いて、試験勉強を始められない方や簿記2級の勉強に身が入らない方もいるのではないでしょうか。合格に向けて頑張っているのに、取得しても無駄だと聞いたら意欲が落ちてしまいますよね。
結論から言うと簿記2級の資格は意味があります。私も取得したことで就職も出来ましたし、日常生活でも十分に役立っています。
この記事では簿記2級をとっても意味がないと言われる理由とより効果的に簿記2級の資格を活かす方法をご紹介します。読み終えると簿記2級への迷いがなくなり資格取得に向けて前進できます。
この記事を書いたのは…
この記事を書いているのは、第151回・合格率12.7％日商簿記2級に合格しました。
改定後、連結会計が初めて出された簿記検定の合格者なので、信頼性もあると思います。
執筆・マコのより詳しいプロフィール
こちらが合格証明書です。賞状のような合格書は引越しの時に紛失してしまったので、再発行していただきました。
簿記2級が意味ないと言われる5つの理由
難易度も高く、応用が利く簿記2級なのに「意味がない」と言われる理由は5つに分けられます。どの理由も一部はあっていますが、半分以上は間違っている理由が多いです。
1．資格よりも実務経験が大事だから
実際の職場では資格よりも実務経験の方が重要視されるので、経験者の方が重宝されます。
例えば、簿記2級の資格を持っていても未経験の方と経理課で3年以上働いていて無資格であれば後者の方が実務レベルは高いので仕事ができる人となります。就職先で経理課へと配属されて、実務経験が積めれば簿記2級の資格がなくても十分戦力になります。
未経験から就職する場合には簿記2級は有利に働きます。採用されてから経理課や財務課に配属されれば知識と実務経験の両方を手に入れることもできます。
簿記2級は経理・財務課・税理士事務所へのパスポートとしての意味があります。
2．AIに変わる仕事と思われているから
経理業務や事務は30年後にはAIにとって代わる仕事とされています。AIなら数字の入力や計算ミスが無くなるので、人間が処理するよりも早く正確に仕事がこなせるので合理的です。
数字の転機や集計など単純作業であればAIが行った方がいいのですが、AIに業務を覚えさせたり、最終的な判断をするためには人間の考える力とAIを操作する能力が必要です。
簿記2級の知識はAIに経理作業を指示する時にも意味があります。
3．難易度が低いと思われているから
簿記2級は民間資格でありながら有名なので、取得者が多いので難易度が低いと誤解されて、意味がない資格と思われていることもあります。
毎年15万人以上が受験し、3万人が合格しているため取得している方が多いのも事実です。しかし、簿記2級の合格率は20%前後と難易度の高い資格です。合格者は一定レベルの勉強と努力をしなければ絶対に受かることはないので、事務系の資格では難易度の高い資格です。
受験資格がないので高校生で簿記2級の保有者もいますが、取得しているのは偏差値の高い高校や上位の生徒であることが多いです。
簿記3級と勘違いされていることも
簿記2級と比べると簿記3級は難易度が低い資格です。
簿記3級の合格率は約40%で商業高校の生徒でも余裕で取得できるレベルですし、勉強時間も範囲も簿記2級の半分以下です。
簿記2級の難易度は【簿記2級の難易度は宅建レベル！パート主婦が11カ月で合格したコツ】をご覧ください。
4．使い方次第だから
簿記2級は国家資格ではないので、取得しただけでは独立も就職もできないので、意味がないと言われることがあります。
医者や弁護士、弁護士であれば持っていないと専門職に就くことはできませんが、簿記2級がなくても経理職に就くことができます。さらに、簿記2級を持っていても確実に採用される保証もありません。
簿記2級は採用のアシストをしてくれる資格ですので、採用試験では年齢や人柄、職歴も加味された上で不採用になることもあります。持っていて加点になることはあっても減点になることはありませんので、意味がないとは言い切れないでしょう。
簿記2級取得後の就職は【簿記2級だけではは就職できない！採用コツ３つと経理以外で活かせる職種と】をご覧ください。
5．批判的な意見が目立つだけ
「簿記2級 意味がない」と言っているのは、一部の不合格者の負け惜しみであって簿記2級資格保有者ではないことがあります。ネットの性質上、批判的な意見が目立ちやすく心を乱すことにもなります。
実際、私は簿記2級をとって意味がないと感じたことはありませんし、私の周囲でも簿記2級がマイナスに働いている方もいません。
情報元が明らかになっておらず、根拠のない批判的な意見には気にしないことが一番です。
簿記2級を持つ5つのメリット
簿記2級を取得した時の5つのメリットを私の経験も交えてご紹介します。
1．未経験の業界でも採用されやすい
簿記2級を持っていると「努力できる人」や「経理の知識がある人」と認識されるので、未経験の業界でも採用されやすくなります。人事担当者であれば簿記2級の難易度や内容を理解していますので、取得した方に対しては計画性をもって真面目に業務に取り掛かれる人という好印象を持つことが多いです。
2019年からは試験範囲の改定で税効果会計や連結会計などの論点が加わったため、簿記2級の難易度は高くなりさらに評価されやすくなっています。
また、どんな企業にも「経理課」や「財務課」があるので、未経験の業界であっても経理課として配属されやすくなります。経理課は毎年1名から3名しか採用されない狭き門です。会計ソフトの導入によって今後も事務職の採用倍率は上がることが予想されます。
2．数字で成果を説明できるようになる
簿記2級レベルの知識と考え方があると、数字をもって企画内容やプレゼンが説明できるようになり、相手を納得させられる確率が上がります。
例えば、営業先で相手に自社商品をプレゼンする時に、取引相手が最も気になるのは「その商品を使うとどれくらい利益が上がるのか」です。簿記2級で学習した収支計算や利益率を割り出し、適切な数字をもって説明すると、根拠が明らかになるので取引先の担当者が聞き入れてくれます。
3．確定申告が自力でできる
簿記2級を取得すると個人事業主の方は青色申告が簡単にできるようになります。さらに副業をしている方も会社に確定申告を依頼する必要がなくなるので、自分のお金の流れを把握することができるようになります。
個人事業主で白色申告をしている方は青色申告に変えるだけで、控除金額が50万円以上上がるので節税にもつながります。
簿記2級では確定申告については直接学びませんが、計算やお金に関わる数字に強くなるので結果、確定申告も容易にできるようになります。税理士事務所に依頼すると確定申告を約20,000円の手数料が発生することもあります。
4．昇給や資格手当で給料が増える
簿記2級の資格取得者には月に5000円から20000円の資格手当を付けている会社もあります。資格手当がつくのは簿記2級からで、簿記3級に対して資格手当を付けている会社は見つかりませんでした。
通信講座を受講しても50,000円程度なので、1年間で十分取り返せる金額の手当てがもらえます。簿記の仕組みは商売が始まったころから完成されているので、10年前でも20年前でも同じです。
数年前の知識が古くなってしまうIT業界と異なり、1度取得した知識が半永久的に使えるメリットがあります。更新や講習なども必要ないので維持費がかからない点もメリットの一つです。
5．ステップアップの基礎にしやすい
簿記2級に合格すると会計に関する基本と合格したという自信がつくので、次の資格取得にも進みやすくなります。簿記2級資格だけでも価値があるものですし、就職や転職に有利に働きますが、合わせて持つとさらに自分の価値を高めることができます。
簿記2級と相性の良い資格には
があります。中小企業診断士や証券アナリストの会計科目は内容が似ているので得意分野になります。
簿記2級は日常生活でも役立つ
簿記2級は仕事や就職以外に日常生活でも役に立つ資格です。
1．株式投資で企業の業績判断ができる
株式投資の際に自分の知識で企業の業績判断ができ、自信をもって運用できるようになります。簿記2級では財務諸表や決算書を作る問題が出されるので、問題を解いていくうちに言葉の意味や計算方法が読めるようになり、会社の経営状態や今後の展開が予想しやすくなります。
ホールディングス化された会社では連結会計といって子会社の収益も合わせた連結ベースの財務諸表が主流です。2019年から追加された論点でもあるので、今勉強する方は漏れなく連結会計も分かるようになり、実践的です。
2．論理的思考でプレゼン上手になる
簿記2級を取得すると根拠を持った考え方でプレゼンし、相手を説得しやすくなります。
簿記2級の核問題の答えは1つしかありません。自分の考えを書く記述式問題ではなく1つしかない正解に向かって電卓をたたき、順番に回答を導き出していきます。○○だから××、××だから△というように順を追って解いていくので論理的思考が身につきます。
就職した後にも上司や取引先を説得するためにプレゼンや根拠を持った説明できるスキルは役立ち、仕事を進めやすくしてくれます。
3．副業が始めやすい
簿記2級を取得すると確定申告や税金の仕組みについて理解する部分が広くなり、副業が始めやすくなります。
また、簿記2級を取得する過程では「勉強する習慣」や「目標に向かって努力する自信」が自分の中に生まれます。今までなんとなくテレビやスマホに費やしていた時間を生産性のある時間に変えることで、副業の時間に当てやすくなります。
また、自分で起業しようとしている方にとっては努力する自信がついているので行動しやすくなります。
簿記2級を意味のある資格にする3つの方法
簿記2級の資格を更に意味のあるものにするための3つのコツをご紹介します。意味がないと言われるのは単体では収入に直結しないからなので、以下の事項を実践すると簿記2級を取得している自分の価値は2倍にも3倍にもなります。
1．実務経験を重ねる
企業の経理課や財務課に所属し、実務経験を重ねると即戦力になるスキルが身に付けられるので就職や転職で有利になります。同じ条件の簿記2級保有者が面接に来た時には実務経験があった方が企業側は採用しやすくなります。
未経験から経験者といえるようになるには3年程度の実務経験があるといいです。一般的には3年間といわれていますが、1年で3年分の実務を詰めるような職場もあります。例えば、制度が整っていないベンチャー企業では経理についてマニュアル化やルーチンワーク化されていないので、幅広い実務経験が詰めます。
簿記2級の資格と実務スキルがあればより価値を高められます。
2．他の資格も取得する
ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引主任者など他の資格を取得すると簿記2級の資格はさらに意味があるものになります。
どこの企業にも経理課や財務課は必要なのですが、職種としては税理士事務所や会計事務所に限られてしまいます。自分の好きな業界での専門知識が加わることで、希望の業界に入りやすくなります。
例えば、不動産系の企業に就職したい時には宅地建物取引主任者を取得するといいです。難易度は簿記2級と同程度と言われていますが、宅地建物取引主任者は国家資格なので、持っているだけで不動産を取り扱う会社での採用率が上がります。
自分の行きたい業界の資格と合わせて取得していると採用されやすくなります。
3．簿記2級が活きる仕事をする
簿記2級が活かせる仕事をすると、資格取得のために勉強した知識が活かせるので忘れにくくなりますし、会計や経理、財務スキルを学び続けることができます。
経理業務は試験問題の何倍も複雑で、重要です。実践的にプレッシャーを感じながら毎日、経理業務を行うことで自分自身が簿記のスペシャリストへと近づいていきます。また、簿記1級も日常業務として行っていけるので、さらなる資格取得へ挑戦するきっかけにもつながります。
簿記2級の資格を取得した後も学び続けることで資格がさらに意味のあるものになっていきます。
簿記2級に合格するなら通信講座がおすすめ
簿記2級に効率よく合格したいなら通信講座がおすすめです。
簿記2級の試験は2月、6月、11月の年間3回の合格チャンスがあります。また、ネット試験の導入により自分の自信が付いたタイミングで試験に挑めるようになりました。
試験の合格率は23％前後となっており、確実に合格したいならは独学よりも網羅的に学べる通信講座おすすめです。
簿記2級の合格に必要な勉強時間
初心者が簿記2級に合格するために必要な勉強時間は350時間から500時間と言われており、毎日3時間勉強したとしても4か月～6か月かかることになります。独学の場合には単元や解き方を理解するまでに時間がかかるのでさらに50時間くらいは覚悟しておいた方がいいでしょう。
簿記2級に必要な勉強時間は【簿記2級の勉強時間は150時間～。未経験者は500時間～】をご覧ください。
独学で簿記2級に合格する
独学で簿記2級の勉強をすると安いです。さらに自分のペースで進めることができるので社会人の方にもおすすめの方法です。
独学で簿記2級に合格するにはテキスト、問題集選びとスケジュール管理の3つが鍵になります。テキストのページ数を平均勉強日数の150日で割ると1日にどこまで進めればいいかが分かります。
ここまで聞いてスケジュールの管理が難しそう…と思う方は独学よりも通信講座やスクールが向いている方とも言えます。
簿記2級の勉強方法は【【実践済】簿記2級に独学で受かる勉強方法。習慣化が鍵】をご覧ください。
通信講座で簿記2級に合格する
費用対効果が最も高いのは通信講座です。
必要なテキストや問題集、動画講義が全てセットになっているのでスケジュールの管理が簡単になります。また、市販のテキストよりも合格することに焦点を当てているので、問題集もテキストも薄めの作りになっています。
おすすめの通信講座は【失敗しない簿記2級おすすめ講座厳選5選/費用と教材内容をコスパで比較】をご覧ください。合格者の上手な息抜き方法とグッズ｜危険！抜け出せない３つ休憩
簿記2級の意味がないと言われるまとめ
・簿記2級を取得しても意味がないと言われるのは、実務経験者の方が優遇されるからや批判的な意見が目立つのが理由として挙げられる
・簿記2級は持っているだけで就職や転職に有利に働く上、日常生活でも生きる思考が身に付く資格
・ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引主任者、中小企業診断士など簿記2級と合わせて取得すると自分の好きな業界に就職しやすくなる
・簿記2級は確定申告にも役にたつので、副業も始めやすくなる
・簿記2級を効率的に取得したいなら、通信講座がおすすめ
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