簿記2級の難易度が分からず、取得を迷っている方もいるのではないでしょうか。
確かに簿記2級の難易度は高いですが、取得が無理な試験ではありません。
難易度が高いからこそ、取得した時に就職や転職の際には相当有利に働きます。
この記事を読むと簿記2級の難易度が高い理由と合格するコツと王道ルートが分かります。
この記事を書いたのは…
この記事を書いているのは、第151回・合格率12.7%日商簿記2級に合格しました。
改定後、連結会計が初めて出された簿記検定の合格者なので、信頼性もあると思います。
執筆・マコの詳しいプロフィール
こちらが合格証明書です。賞状のような合格書は引越しの時に紛失してしまったので、再発行していただきました。
合格率からわかる簿記2級の難易度
簿記2級の難易度は高いですが、正しく勉強すれば合格できます。
勉強時間や問題の内容から宅建士と同じくらいの難易度と言われており、時間をかけて努力できる人だけが取得できる資格です。
難易度が高いので、取得するメリットが大きい資格でもあります。
簿記2級よりも難易度が高い試験にFP1級や行政書士があり、合わせて取得することで転職や就職で採用されやすくなります。
資格 | 偏差値 |
簿記1級 | 66 |
社会保険労務士 | 62 |
行政書士 | 60 |
FP1級 | 58 |
宅建士 | 56 |
簿記2級 | 54 |
キャリアコンサルタント | 51 |
簿記2級の合格率
簿記2級は70点以上取れれば合格できる試験です。
上位15%だけが合格できる宅建の相対評価とは異なり、絶対評価で決まるので受験する回の問題の出題範囲や難易度によって合格率に10%程度差が開くこともあります。
合格率は「合格者数÷実受験者数」によって算出されますので、申し込んだけど、当日受験に来なかった方は含まれません。
第146回の合格率は47.5%と約半数が合格できましたが、第151回は12.7%と10年間の間でも30%以上合格率に差があります。毎年、出題される問題が異なるので、合格率に波がありますが、確実に分かる問題を取りこぼさなければ70点以上取れるような作りになっています。
私の合格した第151回は12.7%と近年まれに見る合格率の低さでしたが、合格できました。
回(日付) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
160(2022.2.27) | 17,448名 | 3,057名 | 17.5% |
159(2021.11.21) | 22,626名 | 6,932名 | 30.6% |
158(2021.6.13) | 22,711名 | 5,440名 | 24.0% |
157(2021.2.28) | 35,898名 | 3,091名 | 8.6% |
156(2020.11.15) | 39,830名 | 7,255名 | 18.2% |
155(2020.6.14) | 中止 | ||
154(2020.2.23) | 46,939名 | 13,409名 | 28.6% |
153(2019.11.17) | 48,744名 | 13,195名 | 27.1% |
152(2019.6.9) | 41,995名 | 10,666名 | 25.4% |
151(2019.2.24) | 49,766名 | 6,297名 | 12.7% |
簿記2級の難易度が高い理由
簿記2級の難易度が高くなっている理由をご紹介します。
試験ごとに難易度が変わる
簿記2級は、問題の難易度が回ごとに変わることが難易度を高めている理由の一つです。
新論点や連結会計など解くのに時間がかかる問題が試験に出題されると苦手な方が増えるので合格率が低くなってしまいます。
1問解くのに時間がかかる
簿記2級の試験では時間との戦いでもあります。
財務諸表や工業簿記では最初の1問から5問目まで全て繋がっていることもあるので、5問目まで解いて1問目のミスに気付くこともあります。
その場合1問目まで戻って解きなおさなければならないので、スピードが不可欠です。記述で時間を消費して最後までたどり着かないこともあります。
簿記2級は3級の倍以上の範囲があるので、網羅的に勉強し苦手分野をなくさないと合格点の獲得は難しいです。
工業簿記が難易度を上げている
簿記2級には工業簿記が試験範囲に含まれるので、理解できないと合格は難しいです。
工業簿記では馴染みのない「工場でのモノづくりに関する会計処理」についての内容が中心の科目になります。例えば、材料費の仕訳や仕掛品と呼ばれる作りかけの製品の仕訳などイメージしにくい仕訳を覚えなければいけません。
製品の製造加工に関する特有の勘定科目を覚えることも工業簿記が難しく感じる理由です。
また、商業簿記と工業簿記では財務諸表の表記は少々異なります。商業簿記に慣れている方であっても工業簿記をイメージして理解することが合格の鍵になります。
工業簿記が難しい3つの理由とどうしても理解できない時の対処法
改定で難易度が上がっている
簿記2級は2015年から3年間かけて出題範囲が大幅に改定をされました。
2015年以前は簿記1級の範囲だった「リース取引」外貨建取引」「その他有価証券の処理」「税効果会計」「本支店会計」「連結会計」「連結会計 アップストリーム」などが簿記2級に追加されたことで難易度は大幅に上がりました。
2019年の2月の行われた第151回の試験では「複数子会社を持つ連結会計の処理」が出題され、見慣れない問題に合格率は12.7%と例年の10%以上合格率が下がる結果となりました。
追加された内容は過去問や傾向がつかみにくく受験生が対策を打ちにくいので、難易度が上がってしまいます。
難易度の高い簿記2級に合格するコツ
難易度が高くても正しい方法で必要な量の勉強をすると、簿記2級は合格できます。
ここからは簿記2級の合格に必要な勉強方法や時間をご紹介します。
①簿記2級の勉強時間を確保する
簿記2級は勉強時間の確保できることが合格の絶対条件です。勉強方法によって必要時間数は変わり、独学の方が通信講座やスクールに比べて必要な勉強時間は多くなります。
一般的に簿記3級の保持者が2級に挑戦する場合、独学だと250~350時間が必要と言われています。通学・通信講座を受講した場合には150~250時間と短くなりますが、1日に3時間以上勉強しても3カ月以上の期間が必要です。
簿記未経験で簿記2級に挑戦するなら独学だと350~500時間、通学・通信講座を受講するなら250~350時間が一般的にかかる時間です。
私は全くの未経験で、1日に2時間程度しか勉強時間が確保できなかったので合格までに11カ月かかりました。
②計画的にスケジュールを立てる
簿記2級に合格するには試験日から逆算して必要時間を確保していきます。
例えば、11月15日に試験を受けるのであれば、1日2時間勉強するとして、500時間÷2時間=250日、250日÷30日=8カ月なので3月から簿記2級の勉強しなければならないことになります。
勉強時間=試験範囲の網羅とはなりませんので、さらにテキストのページで1日に何枚問題集を解かなければならないのかを日数で割ります。試験1か月前までには問題集を3周はした方がいいです。
できる問題を何度も解く必要はありません。
1周目は全部解いてできないところに印をつけ、2周目は解けなかったところだけを進めていき時間をかけて解説を読み理解します。3周目はまたはじめから進めていくと、できなくなっている問題が出てくるので印をつけて繰り返し解いていきます。
簿記2級に必要な勉強時間は【簿記2級の勉強時間は150時間~。未経験者は500時間~】をご覧ください。
簿記2級に受かる気持ちの整え方
簿記2級に合格するためには「強い気持ち」と「技術」が欠かせません。
どちらも合わさったときに合格がぐっと近づきます。
簿記2級に受かるメンタル
集中的に勉強するとモチベーションが下がりきる前に合格できますし、試験範囲の変更に巻き込まれて新しく問題集を買い足す必要もありません。簿記2級の勉強を始める前に「何のために簿記2級が取得したいのか」を明確にするとモチベーションを立て直せます。
1年弱、毎日勉強するには目的が必要です。
「今日は仕事で疲れたし、辞めようかな…」と思った時に明確な理由があると取り掛かれるようになります。
例えば、子育てが落ち着いたら正社員になりたい!今のより給与のいい職場に転職したい!など未来をイメージできる目標があるといいです。
電卓は左手で操作
簿記2級に合格するなら電卓は左手で使いこなせるように普段から慣れておきましょう。
簿記2級試験は問題の量が多いので、時間に余裕がありません。問題を解くために大量の計算をするので、電卓を操作するスピードは合否に影響します。鉛筆を持ち替える数秒でも時間を無駄にしないために、利き手と反対で操作し、利き手からは鉛筆を離さないようにすると少しだけ時間にゆとりができます。
簿記3級は電卓を利き手で操作しても合格できますが、簿記2級は時間がないので焦って解ける問題すら解けなくなってしまいます。簿記2級に合格したいなら利き手と反対で電卓を操作しましょう。
その後、仕事に就いた時でも左で電卓を使えると仕事は早く進められるようになります。
工業簿記で9割取る
簿記2級で合格するなら工業簿記では常に9割以上とれるように勉強しましょう。
苦手意識を持たれることが多い工業簿記は基本の公式やパターンを理解すると得点しやすい範囲です。また、工業簿記の出題範囲は15年以上改定されておらず、出題傾向も安定しているので過去問から傾向と対策も立てやすいです。
今まで出題頻度が高い総合原価計算、差異の分析を行う標準原価計算、CVP分析を含めた直接原価計算の3分野は必ず押さえましょう。グラフが出てくるので数学要素が強く感じ抵抗がある範囲ですが、1つの問題の解き方を丸暗記できるくらい繰り返し勉強すると試験までに解けるようになります。
簿記2級の勉強方法は独学と通信どれがいい?
簿記2級に効率的に合格したいなら、通信講座がおすすめです。
通信講座の教材を通して簿記の仕組みを全体で捉えられるので、未経験の私でも合格できました。
簿記2級に独学で合格する難易度
オススメなのは通信講座ですが、独学で合格することも不可能ではありません。
簿記2級を独学で合格するには同じ問題集を何度も繰り返すことが合格の鍵となるので、最低でも3~4周は繰り返し解き、できない範囲や苦手意識をなくしていきましょう。
独学での合格率が低いのは途中でやめてしまうことが多いからです。参考書が唯一の先生となるので何度読んでも分からない問題は分からないままになってしまいます。その結果、できないところは「試験に出ないように祈る」運任せの勉強になってしまいます。
自分に合う参考書を選ぶ
独学での参考書は専門用語がなく、図解や解説が丁寧なものを選びましょう。
問題集も同じシリーズで揃えると、順番が同じなので進めやすくなります。問題集は解説書が別冊になっていて詳細に書かれていると理解しやすいです。
簿記検定では出題区分が数年に1度、大幅に改定されることがあるので、過去問題集やテキストは最新の改定に対応したものを選びましょう。出題区分は社会の仕組みと実際の簿記の使われるシーンに合わせて改訂されています。
最近では出題の前提が個人商店から小規模の株式会社に改められました。
独学と通信講座の違い
独学と通信講座の一番の違いは時間の効率化です。
通信講座では常に最新の情報を集めているので、法改正に合わせて試験範囲で改定された点やつまずきやすい工業簿記についてもイメージしやすく解説してくれます。解けない問題は個別にメールやチャットで講師に直接聞けるサービスもあります。
簿記2級を独学で進めていくと、分からない問題の理解までに時間がかかり不必要に時間を使うことになったり、自分がやっている勉強方法が合っているかが不安になることもあります。
通信講座のカリキュラムに沿って勉強すると合格まで迷うことも無くなり、自信をもって試験に挑めることも通信講座と独学の違いです。
簿記2級の独学の難しさは【簿記2級の独学は難しい。時間をかければ無理ではない。通信がおすすめ】をご覧ください。
時間とお金にゆとりがあるならスクールもあり
通学できる時間と簿記2級試験にかけるお金にゆとりがあるならスクールに通う勉強方法もあります。対面で授業をしてくれるので、授業に集中できますし、自習室を提供してくれるスクールもあるので、自宅では勉強に集中できない方にもおすすめです。
相場価格は10万円と通信講座の倍以上の金額はかかります。
試験に合わせてスケジュールを組んでくれますし、試験直前には予想対策や模擬試験を用意してくれるので合格の確立も高くなると言われています。
おすすめの簿記2級・通信講座
私はフォーサイトという通信講座を選んだ結果、11カ月で簿記2級に合格しました。
幼稚園の子供を2人育てつつ、個人事業主でハンドメイドショップを運営しつつ、週4でパート事務というハードなスケジュールの中で合格できたのは効率的に進められたからだと思います。
難しい問題ではなく、70点以上取るという合格に焦点を当てた教材の作りになっていたことがフォーサイトを選んだ決め手です。DVDの講師の方も落ち着いたトーンで聞きやすい講義でした。
3級・2級コースで45000円程度と高く感じますが、その後1発で採用試験に合格できたのでコスパはかなりいいです。
労働者のスキルアップを奨励する「教育訓練給付金」という制度が拡充されており、簿記の講座でもこの給付金の対象となるケースがあります。
おすすめの通信講座は【失敗しない簿記2級おすすめ講座厳選5選/費用と教材内容をコスパで比較】をご覧ください。
簿記2級は就職・転職に有利
簿記2級は難易度が高いので就職や転職では確実に有利に働きます。
実際、私は簿記2級があるというだけで、採用試験に1発合格し、社内でも希望の部署に入ることができました。
簿記2級が活かせる仕事
経理部門では簿記2級を採用の条件にしている企業もあります。税理士事務所などの職員募集も大半が簿記2級以上です。
経理など事務職の他にも営業職、エンジニア職でも簿記2級を持っているだけで「努力できる人」とみなされ、同じスキルやスペックの人であれば簿記2級を持っていた方が採用確率は上がります。
工業簿記の知識は製造業における原価計算やものつくりの考え方にも応用できるので、就職後も簿記2級の知識を活かせる場面は多々あります。
簿記2級取得後の就職は【簿記2級だけではは就職できない!採用コツ3つと経理以外で活かせる職種と】をご覧ください。
簿記2級は努力できる証明
簿記2級の勉強時間は最低でも150時間以上かかりますので、宅建と同じように難易度は高いことで有名です。また、数字に強い、物事を論理的に見られる人という印象にもつながります。
「簿記2級を取得できる人=努力できる人」という公式は人事担当者の中でも出来上がっています。
事実、私は正社員をやめてから10年のブランクがありましたが、1社目の会社で正社員として入社することができました。後から採用担当者に採用の決め手を聞くと、「独学で簿記2級を取得できる人は自分で学ぶことができる人だから、入社後にも期待できる」とのことでした。
簿記2級を持っていることは直接的に仕事に影響しなくても、努力できる人の証となるので、採用されやすくなります。
簿記2級の難易度まとめ
・簿記2級の取得は宅建レベルに高いが、絶対評価なので70点以上取れば合格できる
・定期的に試験の出題範囲が追加されるので、今後も難易度が上がると考えられる
・簿記2級が難しいのは、工業簿記は出題範囲になるから
・工業簿記を理解することが簿記2級合格の鍵
・簿記2級を効率的に進めるなら通信講座がおすすめ
・簿記2級を取得すると就職や転職に有利に働く
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